妄と想

週末作家の連想いろいろ。https://twitter.com/KeitaIriyama

書かれない部分への憧憬

 書き言葉にどっぷりの生活をしていると、不意に、世の中が語られない部分でできているような気持ちになります。

  書かれた世界と書かれなかった世界は、朝と晩ほど対として単純でないにせよ、真夜中の秘密、夜更けの陰謀といったものではなく、その人が「言ったってしょうがないと思っていること」や、その人にしては「珍しい弱音」が、案外いろんなヒントになっていることが多々あります。

  赤ん坊は何でもオモチャにするから乳児向けの玩具は効果が計りづらいんだよ。とか、コーラは赤いから、空き缶になっても見てしまうね。とか、シンクの丸穴の筒は、浅い方が掃除がしやすくて、野菜をこまめに捨てることができるのに。とか。

 

  誰かのアウトは誰かのストライクだと考えると、少し気分が晴れます。

    

手持ちの本から02/音楽の秋と読書の秋を同時に

  真夏も遠くなり、朝晩が過ごしやすくなりました。さて、読書の秋と音楽の秋を同時に楽しんでみてはいかがでしょう。

  演目は、ヴァージニア・ウルフの弦楽四重奏団と、梶井基次郎の器楽的幻覚。共に掌編となっております。

 

 

 

 ■弦楽四重奏団/ヴァージニア・ウルフ■

 

ヴァージニア・ウルフの弦楽四重奏団は混ぜ書きで、全てが音の比喩描写なのか、演奏中の観客のやり取りがコラージュのように挟まれているのか、文末も、演奏の終わりを表現したのか、演奏会終了後のやり取りなのか、明確な区別のないまま書かれています。

 

 

http://www1.bbiq.jp/kareha/trans/html/string_quartet,_the.html

 

ヴァージニア・ウルフ短篇集 (ちくま文庫)

ヴァージニア・ウルフ短篇集 (ちくま文庫)

 

 

■器楽的幻覚/梶井基次郎

 

梶井基次郎の器楽的幻想は、目がやっていることと、耳がやっていることが分けられており、楽曲に影響を受けた自己となっています。休憩時間は休憩時間、演奏終了後は演奏終了後と、きちんとわかるのが特徴です。

 

http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/422_19700.html

 

 

檸檬

檸檬

 

 

手持ちの本から01/本を読むときに何が起きているか

音、リズム、登場人物の顔。

本(小説)を読むときに読者が想像していることや、読者に起こっていることを文字とビジュアルで表現してある本です。


f:id:iriyamakeita:20161012212550j:image

※読者は観客であり、指揮者である。の頁より。

 

リンクから飛ぶと中身が少し見られます。

素晴らしい本です。

 

本を読むときに何が起きているのか  ことばとビジュアルの間、目と頭の間

本を読むときに何が起きているのか  ことばとビジュアルの間、目と頭の間

 

 

科学のSF的だけど外れてほしい架空の未来

  これから、勝手に危惧してることを書きますね。

 

   昔の脳科学の記事で、異性愛者の男性の脳は、きれいな女のひとの写真をみたときに反応する部分とコカインを与えられたときに反応する部位が同じ、というのがありました。だからといって、女性はイコール麻薬ですとダイレクトに捉えたら、怖いなあと思いました。

  

   文学の描く対象のひとつに、漠然とした不安や焦燥というのがある(あった?)らしいんですが、これの原因のひとつに、白砂糖の過剰摂取というものがありまして、共感した読者の漠然とした不安のうち、いくつかは低血糖の症状として、食生活の改善で良好な状態に持っていけたりします。これは栄養学や医学のポジティブな応用ですが、例えば、精神医学上では、文学作品による浄化(カタルシス)とは、共感を材料にした、一方的な対話療法である。というふうに世の中がなってしまうと仮定すると、文学作品の浄化という用語が、多少なりとも変わってしまう可能性もあるのです。

 

   そういった影響は、生活にも及びます。脳科学の比喩で言い換えると、仮に、黄色い声援を研究するとして、黄色い声援を聞いたとき、もし黄色を見たときと同じ場所が活発になったり、声援には色はないといった場合はセーフですが、緑色を見たときと同じ場所が活発になった場合、黄色い声援は実は緑色の声援だったということになってしまいます。

   この日記の文学の浄化や声援の色味の話は架空の研究結果ですが、科学が進むということは、民間療法の「人体への効果」への是非だけでなく、生活の中で使っている「普段の言葉」そのものを、擬似科学的な用語だったという結論を導くことにもなりうるんです。

 

   では、科学的な研究成果によって否定されるのが、言葉ではなく、文化や道徳だったらどうでしょうか。仮に、他者への優しい手助けが、リラックス状態における微弱な人間不信とイコールであると証明されたとしたら、仮に、厳密な表記のために、善良な行動を示す言葉が、脳科学の用語から削除されるようなことになってしまったら、善良な科学者が口酸っぱく、モラリストとして釘を刺したにもかかわらず、優性遺伝や劣性遺伝とは価値の上下であるというような誤解(ほんとうは、遺伝子の強弱を指す言葉です)まで生みながら、そんなふうなブラックボックスじみた研究結果が人々に普及してしまったら、以後の人間の生活は、まるっきり違ったものになると思いませんか?

 

    なにも爆弾だけが生活空間を破壊する道具だとは限らないのです。受け取り方、伝え方、内容そのものの混ざり方によっては、論文だって、十分その役割を持ちうるのです。

 

   とはいえ、失神だけが医学用語でも、我々は現在も変わらず気絶という言葉を使い続けていますし、同じ動物だからと言ってわざわざ生きた人間を飛行機で貨物あつかいしません。ラブレターの締めくくりが、心から愛を込めて、から、脳が興味を持っている。とはならないでしょう。耐えられないという理由で、適用すら思いつけないものもあるのです。きっと人間の意味づけは、ひとりの人間や、ひとつの組織ではできないようになっているのでしょうね。

狼に育てられた少女が2回死ぬ話

   タイトルも思い出せないくらいの幼少期に読んだ雑誌かなにかに、親から山に捨てられて、狼に育てられたという少女の話がありまして、よほど衝撃だったのか、発見されたときの少女が手足で歩き、保護されてからもたびたび家の鶏を襲い、沸騰した鍋の湯に手を突っ込み、言葉を少し覚えた数年後に死んでしまったということを、今でも思い出せてしまいます。ひょっとしたら、漫画だったか挿し絵つきの児童文学だったかすらも定かではないのに、鶏を襲っていた狼少女の絵がとてもかわいそうだったので、そのときの感情がしおりになってしまったせいかもしれません。

 

    狼が育てたら人間も狼のようになるという、今まで持っていなかった視点を手に入れたら、あとはもう、外国で生まれていたら外国語が喋れるかわりに日本語が喋れなくなる、といったふうに、思い思いに応用するだけでした。

 

    数年前、ふと気になって調べてみたら、ネットにこの話の検証を引用した記事があり、そこで、けっこうな大昔に真っ赤なウソだという結論がでていたことを知りました。そこには、犬歯が発達するなどの医学的に不正確な記述があるといった、当時の検証結果が羅列されており、ウソを実話として発表した神父が実在していたことが、暴かれた話を一層不憫なものにしていました。

    不憫だったのは僕の頭も同様でした。今現在でも、モデルとなった少女がなぜ狼少女になり得たかという、実話としての身体的特徴が思い出せないままだからです。なぜなら、利用されたとはいえ、狼少女が最初から人間として育っていたなら問題ないはずなのに、僕は、あんなに不幸な狼少女が、最初からいないことになってしまうのが、さらに耐え難い不幸に思えてきて、その記事を読んだ端から忘れていったからです。

    子供時代の妙な片思い、嘘つき神父、実在したと思われていた狼少女、実在しなかった狼少女、モデルとなった少女、信じたが故に裏切られた自分。いつしかこの話は、少し視点を変えただけで、だれもが不幸になってしまう話になってしまいました。しかし、それ同様に、教材的な意味を手探りさせようという、誘導的な書き方から少しでも目を逸らしてやれば、全ての登場人物に、悲劇の文外に追いやられる類の、幸福で軽薄な瞬間があったのかもしれません。

 

   さて、およそ、そういった流れで、狼少女は2度死にました。「Aが異なるBを上手く育てたら、Bは疑いも信じもせず、Aの生活そのものになってしまう」という、脱け殻のように清潔で乾燥し切っている物差しを残し、彼女は、自分が生まれた場所でもある、あの日の挿し絵を構成する、黒々した輪郭線に埋葬されてしまいましたとさ。

 

    おしまい。

word2013でkindle用の文字ファイルを作る(主に章のある小説、短編集用)

 kdpは試験的に日本語のマイクロソフトのワードファイル(.docx)で作品をアップロードできるようになっています。(表紙の画像は別のアップロード項目があるので、各自で別途用意してくださいね)

 それでは、僕の作業画面(Word2013)で、必要最低限の文字ファイル作りを追って見ましょう(※作品は完成済とする)

 

 

 

■その1・反映される一字下げをつくろう■

 まずは、一字下げがkdpファイルに確実に反映されるように、一字下げを指定します。

 段落の頭をクリックします。

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 ホーム→段落の角を順にクリック

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 出てきたボックスの最初の行をクリックし、字下げを選びます

続いて、その隣の幅を1字(タイトルの場合は2字)にします。

OKをクリックします。

 

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■その2・Kindleで文字サイズを変えてもいいように、作品をページで区切る■

 単純に印刷するだけの場合などは、エンターキーの連打で新しいページを作っても問題はないのですが、Kindleでは文字サイズが変えられるため、文字を拡大すると、エンターキーの指示がおかしなことになり、空白と新のページの始まりがズレてしまいます。章の終わりや、作品の終わりは、しっかりとページ区切りしましょう。

(※Ctrl+Enterで代用可能です)

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■その3・目次作成のため、タイトルを見出し1にしてみよう■

 続いて、見出し1を使用して、各章や各作品のタイトルを作ります。これは後で電子書籍の目次リンクになります。

 各章や各タイトルを選択します。

 ホーム→見出し1の順番でクリックするとタイトルが見出しになってくれます。

 

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■その4・見出し文字にしたタイトルで目次をつくってみよう■

 ページ上部の参考資料→目次→出てきたボックスのユーザー設定を、順番にクリック

さらに出てきたボックスにある〈ページ番号を表示する(S)〉の左にあるチェックを外します。(Kindleで文字サイズを変えると、ページ数が変動するからです)

 

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 目次のリンクとして1.が出てくるので、(Ctrl+E)で中央揃えにします。

 場合によっては、お好みで2.のように書き加えるとすっきりします。

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 インターネットには、いっぱいkindle用のワードの使い方が転がっていますので、疑問などは探してみると楽しいです。それでは。

 

無人島になにを持って行こう

  この質問の楽しいところは、選択的な無人島暮らしと、持って行く限定アイテムを好き好きに想像する楽しさにあります。

 

  校則で強制されなくなった十数年後、男子学生が、自らのファッションセンスで坊主頭にするようになったと聞きます。環境や気の持ちようひとつで、遭難とされる無人島暮らしすら、自分で選べば楽園生活になるのでしょう。

 

  そこまで言っておきながら自由意思の話などは放っておいて、燃料なしで火起こしが出来るから虫メガネを持って行こう。という、オリジナルながらも同じ考えの人がいそうな、マスターピースのひとつらしき結論を出します。

 

  やはり、仮想のサバイバルには逆らいがたい魅力がありますね。